創作物語:天の川を渡った猫
昔々、天の川のそばにひとりで住む黒猫がいました。その猫は毎晩、川を眺めながら思っていました。
「向こう岸にはどんな猫がいるのだろう?」
でも黒猫は水が怖くて、どうしても近付くことができませんでした。
七夕の夜、織姫と彦星が年に一度だけ天の川を渡るという話を聞いた黒猫。「もしかしたら、今日ならぼくも渡れるかもしれない」
そう思った黒猫は、天の川の近くへそっと近付いて行きました。
するとそこには、星のきらめく橋がかかっていました。そしてよく見れば、水だと思っていた天の川の流れはさらさらと流れる無数の光の粒でした。
「なんだこれなら怖くないや」
黒猫は足取り軽く星の橋を渡っていきます。すると、ちょうど天の川の真ん中あたりでしょうか、小さな白猫が同じように橋から光の川を眺めていました。
黒猫に気付いた白猫は、一瞬で「ボワッ!」と尻尾を膨らませ警戒モードに。そこは白猫のなわばりだったのです。
緊張感高まるふたりの猫の間に、なんと、織姫と彦星が不思議な歌を歌いながらやってきました。
「~る…~る…ちゃ…ち…~る…♪」
声にぴくっと反応して、一目散に駆け寄っていく白猫。あっけにとられて見ていた黒猫に、織姫がおいでおいでと笑顔を向けます。橋を渡ると、そこで白猫は何か美味しそうなものを食べています。
「仕方ないわね、食べていいわよ」と促す白猫。
黒猫と白猫は顔を突き合わせてそのおいしいものを一緒に食べました。
夢中になって食べていると、天の川に風が吹いて光の粒が舞いました。まぶしくてギュッと目をつぶる黒猫と白猫。
光の粒が消え、顔を見合わせる黒猫と白猫。その足元で「みゃー」と小さな声が聞こえました。そこに居たのは白と黒のハチワレ猫でした。
「あら、今までにない柄の子ね」
「黒い子はいなかったからね」
「時間だ」
彦星がそう呟くと、織姫は寂しそうにハチワレを抱き抱え、白猫と一緒に橋から離れていきます。「また来年ね」
「さあ、もう少しで橋は消えてしまう。君はここにいる?あっちには君の仲間がたくさんいるんだよ。それともぼくと戻るかい?」
黒猫は彦星が何だか寂しそうだったので、一緒に戻ることにしました。でもあの美味しいごはんが食べられないのはちょっと残念だなと思っていました。
「織姫は猫を保護してるんだ。時たまああやって他の毛色の子がやってくると、新しい柄の子が生まれることもあるんだ。ぼくは猫たちのごはんを作って、年に1回天の川を渡ってごはんを届けているんだ。それがぼくらの今の仕事さ」
天の川の向こう側から戻ってきた黒猫は、そのまま彦星と暮らすことになりました。美味しいごはんは黒猫のアドバイスにより、もっと美味しくなりましたとさ。
<おわり>
ふと思いついて七夕にちなんだ物語を書いてみました。お話の中で子猫が生まれていますが避妊とかの話はちょっと置いておいてくれるとうれしいです。
そして足が写っていてすみません。
明日からまた普通の(?)むぎさん日記に戻ります。
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