猫はどんな世界を見ているの?
ひと昔前までは猫の目にはモノクロの世界が見えていると言われていました。
しかし現在では猫にも色覚があることが分かっています。
そんな猫の目には世界がどうやって見えているのか、わたしたち人間の見え方と比べてみました。
猫の色覚
わたしたち人間はRGB(Red:赤, Green:緑, Blue:青)の3色型色覚ですが、猫は2色型色覚。
猫には赤色の波長が見えないという研究結果があります。
また、人間には色を感知する錐体細胞が数多く存在しますが、猫では錐体細胞よりも光を感知するための桿体細胞の方が発達しています。
暗闇で獲物をつかまえて食べる猫には、色よりも光を感知する機能の方が生存に有利だったということですね。
猫の目には色がこう見えている?
猫の色覚は「赤色盲」の方の見え方と同じと考えられています。
赤色盲の方は赤い色を認識できません。
そこで、赤色盲の方の見え方を再現するフィルターを使い、猫の世界を映し出してみました。
まずはこちら。
上が色盲を持たない人間から見える色世界、下が猫の色覚での世界です。
紫がかったフェンスは赤みが抜け青みが強くなっています。
赤く熟した実を食べる動物は赤も見えます。
肉食動物には赤を見分ける必要がないので赤を見分ける細胞が退化していったと考えられています。
猫は近眼
人間は車を運転できる程度の視力であれば30~60メートル先まで鮮明に見えますが、猫は6メートルほどまでしか見えません。
赤色盲に加え、近視の要素も加えて猫の視界を見てみましょう。
至近距離の肉弾戦のみなので、近くの獲物を捕らえるのには遠くが見えなくても問題ないのです。
また、耳がいいので遠くが見えなくても音で危険や近付くものの存在を察知しています。
近眼の方は裸眼で歩くと猫の気分が味わえているということですね。
ちなみに私はド近眼です。
猫の視野
猫は人間よりより広い視野を持っています。
人間の視野は180度ですが、猫は200度まで見えます。
周辺視野(視界の外側の範囲)は人間が20度程度(個人差あり)、猫が30度です。つまり、人間よりものがはっきりと見える範囲が広いことになります。
暗いところでもよく見える
猫はもともと夜に狩りをする生き物です。
猫には光を感知する桿体細胞が多く、暗い場所では人間の6~8倍の視力を発揮します。
猫の目の網膜の後ろには「タペタム層」という反射板のような役割をする器官があり、これも光を集めることに役立っています。
暗闇で猫の目が光るのはこの器官に反射しているのです。
猫同様、犬やタヌキなど夜行性の動物にはこのタペタム層がありますが、人間にはタペタム層はありません。
また、猫は止まっているものより動いているもの方が良く見えるよう動体視力が発達しています。
逃げる小動物を捕まえるのに有利な進化ですが、なんとも不思議ですね。
さらなる解明があるかも?
最近では、猫も実は緑色も若干見えているのではという研究結果もあります。
これからさらに猫の見ている世界について明らかになっていくかもしれません。
こんな美味しそうなお好み焼きも猫には…。
猫は視覚情報よりも嗅覚・聴覚が発達しているので、人間のように「目で見て楽しむ」必要もないのかもしれません。
鳥は色でついばむ果実を見つけて、果実も鳥に食べられて種子を運んでもらうべくその色になる。
きっと猫の色覚にも何らかの意味があるのでしょうね。
参考:A Cat’s Actual View of the World
<あとがき>
私が小学生の頃、猫はモノクロの世界を見ていると考えられていました。
クリスマスの時期に家に飾ったキラキラきれいなクリスマスツリーも猫には白黒に見えるなんて…と、当時一緒に暮らしていた猫のミーのことが幼心にはすごくかわいそうに思えボロボロ泣いてしまいました。
赤い色は見えていないけれど、ちゃんとキラキラ色が変わるのは見えているよ、と当時の私に伝えたいです。
猫は猫なりに別の大切な目の機能が進化しているから、かわいそうではないんだよ、とも。