猫の毛色を決める遺伝子と遺伝子座の複雑怪奇な組み合わせ（Day448_1/12）

ふくねこ

むぎの被毛はオレンジと茶と白の3色だね。

むぎ

そういえばぼくだけこの色だったにゃ～。

Contents

猫の毛色は遺伝子と遺伝子座で決まる
猫の毛色や長さを決める主な遺伝子
遺伝子がどうであろうと猫は等しくどの子もかわいい

猫の毛色は遺伝子と遺伝子座で決まる

多種多様な猫の毛色。

その毛色は毛色を決める遺伝子とその遺伝子の位置（遺伝子座）によって決まります。

むぎさんはミックス（雑種）だけどアメショ柄の茶トラ。

しかし兄弟妹は三毛とサバトラ白です。

同じお腹から生まれてきても、ミックスでは多種多様な毛色の猫が生まれてきます。

これは猫特有の毛色を決める遺伝子と遺伝子座の組み合わせが複雑なためですが、その遺伝子にはどんなものがあるのか調べてまとめました。

猫の毛色や長さを決める主な遺伝子

遺伝子は自分の機能を発現する場所が決まっており、その遺伝子がある場所を「遺伝子座」といいます。

遺伝子座には2個の遺伝子が1セットになって存在します。これを「対立遺伝子」といいます。
この2個の遺伝子は父親と母親それぞれの遺伝子を受け継いで対になります。対立遺伝子には優劣があり、通常は優性を大文字、劣性を小文字で表記します。
この優劣は優れているとか劣っているとかではなく、その遺伝子のもつ性質が個体に表れることを優性、表れないことを劣性と呼んでいるだけです。

さらに遺伝子座にも上位、下位があり、上位の遺伝子は下位の遺伝子の発現を抑えます。

そんな猫の毛を決める遺伝子座は10種類以上存在し、そのしくみは複雑です。
主な遺伝子を以下にまとめました。

遺伝子座	性質	対立遺伝子	優劣	上位遺伝子座	下位遺伝子座	備考
W (White)	体全体を白くする	W,w	W>w	なし	L以外のすべて	WWは白猫
O (Orange)	毛色をオレンジにする	O,o	なし	W	A,B,I	X染色体上にある
A (Agoute)	毛色をアグチパターン（1本の毛の先端と根元が黒、中間がオレンジ）にする	A,a	A>a	W,O	aに対してT	aaは毛が黒くなる
B (Black)	毛色を黒くする	B,b,b1	B>b>b1	W,O		ユーメラニンを出す量を決定 bb・bb1はチョコレート色、b1b1はシナモン色になる
C (Color Point)	シールポイント（顔、耳、手足、しっぽだけが黒やこげ茶）・アルビノ（メラニン欠乏）を決める	C,cb,cs,ca, c	C>cb>cs >ca>c
T (Tabby)	タビー（縞模様）を決める	Ta,T,tb	Ta>T>tb （TaはTに対し不完全優性）	W,a		組み合わせで縞模様の部位やタイプが決まる
I (Inhibitor)	毛色をシルバーにする	I,i	I>i	W,O		IはWやOより下位なのでwwかつoのときのみシルバーになる
D (Dense)	毛の色を濃くする	D,d	D>d	W		ddの猫は毛色が薄くなる
S (Spotting)	体の一部を白くする	S,s	S>s （不完全優性）	W		SSは白色部が多くなり、 Ssは腹部や手足のみが白い
L (Length)	毛の長さを短くする	L,l	L>l			長毛種はllを持つ

すごく複雑ですよね！

茶トラアメショ風のむぎの場合、オレンジのOと短毛のL、白い毛のWは持っていそうです。

なお、しっぽの性質を決めるのは以下の遺伝子です。

遺伝子座	性質	対立遺伝子	優劣	上位遺伝子座	下位遺伝子座	備考
M (Manx taillessness)	尾をなくす	M,m	M>m			Mは致死遺伝子のためMMの個体は生まれてこない＝しっぽのない猫はいない
Jp (Japanese Bobtail)	尾を丸くする（かぎしっぽ）	Jp,jp	Jp>jp			日本猫特有なしっぽ
Fd (Folding Ears)	耳を垂れ耳にする	Fd,fd	Fd>fd （不完全優性）			垂れ耳のスコティッシュフォールドはFdFd もしくはFdfd